暖かい国の鳥だからと、私・pipi代理人がセキセイインコ「pipi」の家(籠)の置き場に選んだところが、長い軒のあるリビングの南窓の近く。この場所は冬は日差しが入って暖かく、夏は日が遮られて涼しい、人にとっても年中居心地の良い場所。寒がることがなく暮らせるのでは…なんて考えたのです。
結果は、この考え方が、とても大きな大きな、取り返しのつかない状況を生んでしまいました。なぜでしょうか?
セキセイインコの、原産地での生活習慣
セキセイインコは、オーストラリア原産の鳥です。
そのオーストラリアでは、乾燥地帯の低木や開けた森林・草原で、樹木の洞や穴等に巣をつくって群れで生活し、暑い日差しを避け朝夕によく活動しています。
一般的には南国の鳥として扱われて、よく「快適に過ごせる温度は28℃~30℃」と言われているんだよね。
生活リズムは、日中に活動する鳥ですので、日の出とともに起床し、日没とともに眠ります。
乾燥地帯に住んでいるので、あまり水を飲まない習性があると言われているのよ。
繁殖は1年中するようですが、乾燥地帯に住んでいることもあって、雨が降った後によく繁殖するようです。
共に暮らしたインコと原産地の性質を比較して
では、原産地での生活習慣が、そのまま国内で繁殖されたセキセイインコの生活習慣として考えてよいのでしょうか?
pipiDと共に暮らした2羽(+今いる2羽)の生活習慣と比較してみます。
快適に過ごせる温度は何℃?
pipiDがセキセイインコと暮らしたのは、「pipi」が最初でした。
ですので、ネットや本などを駆使して情報を収集し、“セキセイインコにとっての快適温度は28℃ぐらい”という結論に達し、28℃ということを頭に入れて日々暮らしていました。
関東にある我が家は、夏涼しく冬暖かな家の造りですので、夏は暑くても32~33℃、冬はどんなに寒くても6℃までしか下がりません。冬はだいたい10℃以下にはならない環境です。
そんな家で共に暮らしていたある夏、帰宅するとpipiの様子がおかしい。くたぁっとして、食事もほとんど食べず、水もあまり飲みません。いつも元気に人間の言葉をしゃべるのに、か細い声で鳴くだけ。「朝は元気だったのにどうしてっ!」。急な変化だったので、翌日直ぐに小鳥の専門医さんの所にお世話になりました。
結果は、なんと、熱中症!
聞いた時は「まさか」と思いましたが、その診断に基づいて注射と処方箋を施していただいて、無事回復。以来、夏は常にエアコンを稼働させ、室温が26℃ぐらいになるように調整していました。
僕が暑がり&寒がりだって、何度言ったら分かってくれるの!
とってもキツかったんだよっ!!
実はこのとき、既に、もう一羽のセキセイインコ「らい」も一緒に生活していたのですが、「らい」は熱中症にならないどころかとても元気でした。以降も、たとえ暑い部屋に置きっぱなしにしてもバテることなく、元気に籠の中を動き回っておりました。
私は暑いところが大好きなのよっ!
“pipi”と“らい”の例から見ると、明らかに個体差があると推測できます。
正確な要因はわかりませんが、国内で生まれ育ったセキセイインコは、例え南国の鳥といえども代々日本の気候に慣れて、適応してしまっているのではないかと思われます。
原産地でのセキセイインコの特性をそのまま暮らしているインコに当てはめて考えることはしないほうがよい、とpipiを通して体験しました。
この経験からpipiDは「一緒に暮らすインコの快適な温度を、それぞれ探してあげたほうがよい」と思い、今暮らしているインコ達と接しています。
水はどのくらい飲むの?
乾燥地帯であるオーストラリアに住むセキセイインコは、あまり水を飲まないと言われています。
実際、我が家に居た2匹でも、原種に近い黄+緑の「らい」は、あまり飲みませんでした。たまに、今日はよく飲んだな、と思うと、水便だったり、という感じでした。
そんなにノドが乾かなかったの…
ですが、pipiは違いました。
pipiDはSANKOさんのイージーホームバード35-BLをインコ達の家にしています。
この家の水入れに半分ほど入れていたのですが、pipiは、ほとんど空に近い状態になってしまうことが幾度も幾度もありました。
最初は籠の置き場やエアコンによる蒸発を疑いました。
ですが、“らい”のほうはあまり減っていません。しかも“らい”の籠のほうが日が当たる場所にあるのです。このことから考えると、明らかに“pipi”が飲んでいたようでした。
私が普通なの!pipiが飲みすぎるのよっ!
喉が渇くんだから仕方ないだろっ!
人を酒飲みみたいに言うなっ!!
このように、飲み水にもはっきりと個体差が出ていたのです。
暑さに弱いpipiでしたので、飲み水で体温調節をしていたのかもしれません。水入れに入って水浴びをする子ではありませんでしたから、きっと口に含んで体温調節をしていたのでしょうね。
まとめ
セキセイインコは明治20年前後に日本に入ってきて、大正期の大流行によって定着した小鳥です。以来、幾代も日本で命が繋がれてきたことから、次第に日本の気候に馴染んだ個体が出てきているのでしょう。
これはあくまでも幼鳥の話ですが、新たに迎え入れた子たちを扱っていたペットショップオーナーさんにヒーターの件で相談したとき、「せっかく迎え入れていただいても、幼いうちに暑さで亡くなってしまう子も多いんですよ。逆に寒いのは意外と強いので、暑すぎないようにしてあげてくださいね」とアドバイスを受けました。
今回の話のポイントは、「個体差を考慮することが大事」、でした。
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