みなさんは、家族の一員のインコに、どのような食事を心がけていますか?
栄養バランスの大切さは、人もインコも同じです。特に、シード食では補えない栄養素があり、これらによる栄養不足が病気を呼んでしまうとさえ言われています。
そこで、インコの食生活について考えてみましょう。
野生のインコの食生活
シードが美味しくて、シードばかり食べちゃってました。
そうなんです、インコにとってシードはとても美味しいのです。
pipiはセキセイなので、ここから先はセキセイインコを例にしたお話しになります。
私たちは、もともと木の実など種子を好んで食べているのよ
そう、オーストラリアで生まれ育ったセキセイインコは、主に乾燥地帯に生息していますので、木の実や芽を好んで食べています。けれども雑食ですので、果実や昆虫、動物の肉なども食べたりしています。
さて、そのような自然界で育つインコと、家族として迎えられたインコとは、何が異なるのでしょうか?
自然界では、自然と足りない養分を補う食事をしているんだよね
そうです。野生のインコは、種子などでは不足してしまうたんぱく質やミネラル、ビタミン類を、雑食性ならではの様々な食事を通して採り入れています。
ですが、家庭に迎え入れられたインコは、与えられた食事しか出来ません。習慣化することもあるのか、放鳥で部屋の中を物色することがあるにしても、基本的に好きな食事(好きな食べ物しか食べない)しかしなくなったりします。これが野生と異なり、栄養不足による様々な病の起因となってしまいます。
だって、シードが美味しかったんだもん!
そうでしょう。pipiが悪いわけではないんですよ。人もインコも美味しいものが食べたいですものね(笑)。
なんでインコはシードばかり好んで食べてしまうの?
セキセイインコは、自然界で永い事代々生き続けてきたこともあり、クチバシや喉がシードを食べるのに適した形になっています。まず身体が、シードに適した形で成長しているんですね。
加えてシードは、現在市場に出ているものは、粟・ひえ・きび・カナリアシードを混合したものがほとんどですが、それぞれに味が異なります。食べるインコにとっては選ぶ楽しみもあり、食事が楽しいのではないでしょうか。
特に殻付きシードは、殻なしシードより栄養価も高く、また水分も保たれているので、より美味しさが増しています。皮を剥ぐ作業が脳に刺激を与えてもくれますので、ストレス解消で気分も上々なのでしょうね。
シードは、まるでレストランに行ったみたいなの。
そう、シードは、インコにとっては豪華なお食事。ましてや市販のシードは、いろいろなものがミックスされたものなのでバラエティに富んでいて、楽しみながら味わえるのです。ですので、ついついシード食がすすんでしまうのですね。
インコが健康で長生きするために必要な栄養素
では、インコが健康で暮らしていくために必要な栄養素は、どのようなものなのでしょうか?インコは人と同じように、「蛋白質」「脂質」「炭水化物」の三大栄養素が過不足ないようバランスよく摂取することが必要です。バランスが崩れると、以下のような様々な症状が出てきます。
○ 蛋白質/人と同じように、血や肉、爪・くちばしなどをつくる栄養素。
(摂取量が多い場合)内臓疾患に。
(摂取量が少ない場合)発育不全、繁殖・羽毛障害等に。
○ 脂質/活動のエネルギー源や、細胞組織の維持促進。
(摂取量が多い場合)肥満や生活習慣病、繁殖障害など。
(摂取量が少ない場合)発育不全、呼吸器感染症への抵抗力低下。
○ 炭水化物/活動のエネルギー源
(摂取量が多い場合)肥満、肝機能障害など。
(摂取量が少ない場合)活動力の低下。
僕は炭水化物と脂質の食べ過ぎで、肝機能障害を起こしていたんだ。
私は、ヨウ素不足から甲状腺腫を発症してしまったのよ。
そう、「らい」が言うように、健康を維持するためにはヨウ素など微量であっても必要なビタミンやミネラル類があります。下記にインコを含むオウム目に必要な栄養素の目安を示しておきますので(コンパニオンバードNo26など参照)、参考にして栄養不足にならないよう注意してくださいね。
○蛋白質…12.0% ○脂肪…4.0% ○リノール酸…1.0% ○カルシウム…0.3% ○リン…0.3% ○ナトリウム…0.12% ○塩素…0.12% ○カリウム…0.4% ○マグネシウム…600ppm ○マンガン…65ppm ○鉄…80ppm ○亜鉛…50ppm ○銅…8ppm ○ヨウ素…0.4ppm ○セレン…0.1ppm ○リジン…0.65% ○メチオニン…0.3% ○トリプトファン…0.1% ○アルギニン…0.65% ○スレオニン…0.4% ○ビタミンA…800IU ○ビタミンD…50IU ○ビタミンE…5.0IU ○ビタミンK…1.0ppm ○ビタミンB1…4.0ppm ○ビタミンB2…6.0ppm ○ニコチン酸…50.0ppm ○ビタミンB6…6.0ppm ○パントテン酸…20.0ppm ○ビオチン…0.25ppm ○ビタミンB12…0.01ppm ○コリン…1500ppm ○葉酸…1.5ppm
※IUとは、国際単位(International Unit)の略で、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E)などに使用される単位。mgに換算すると以下の容量になります。
○ビタミンA…1IU=0.33μg ○ビタミンD…1IU=0.025μg ○ベータカロテン…1IU=0.6μg ○ビタミンE:1IU=0.67mg
[まとめ]インコが好む食事と健康に必要な栄養素
野生のインコは、自らなわばりを飛び回って自分の身体づくりに必要な食事を探してバランスよく食べますが、人と同居すると、そういうわけにはいきません。また、人と同居すると探し求めなくても常に美味しい食事が出てくるので、美味しいものばかり食べたり、ついつい食べ過ぎたりして栄養に偏りが生じてしまうことも良くあります。食べているから大丈夫だろう、という考えは禁物なのです。
「pipi」は食べ物が豊富にありすぎて発情が促されてしまい様々な病を発症し、また「らい」はシードのみに偏った食事をした結果ヨウ素不足による甲状腺腫を発症し5年生きませんでした。一緒に暮らすインコが長生きできるようにするには、インコの栄養バランスを考え、過多になりすぎず不足もしないよう、常に健康意識を高く持って暮らしていくことがとても重要なんですね。
次回以降の「食事」カテゴリーでは、どのような食事を用意すべきかについて触れていこうと思います。
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