インコの呼吸困難は、突然やってきます。
我が家のセキセイインコ“らい”も“pipi”も、それはもう突然でした。
“らい”は家に帰ったら、ヒューヒューという鳴き声のような呼吸をしていて、その日のうちに他界。“pipi”は夜の静けさの中でギィッギィッと胸のあたりから音を出すようになり、その後病院の治療も甲斐なく音がわかってから2週間で他界しました。
実際はそんな突然にやってくるわけではなく、インコの場合、症状が表面に出てくるのが末期に近い時なんだと思います。
酸素室を自宅に設ける必要性(pipiDの個人的な想い)
我が家のセキセイインコ“らい”は夜、病院に連れていく途中で亡くなりました。インコのような小鳥は臆病なので、呼吸困難で苦しんでいる中、慣れない移動用のかごに入れられ真っ暗な車中に置いて余計なストレスを掛けてしまったことが一因かと思います。亡くなったあと今後のため対策を勉強したところ、栄養治療で回復した例も見つけられたことが、よりいっそう自分の処置を後悔しました。
また、とっても懐いていた“pipi”は、ドクターに1週間以上預けたまま、酸素室での集中治療で帰宅の話も出るぐらいに一時は回復したものの、結局は会えることなく亡くなってしまいました。預けた判断は正しかったのだろうか、自宅で看取るべきだったのではないか…今も自問する毎日です。
もし自宅に酸素室があったら…
“らい”に死に至るストレスを掛けることもなかっただろうし、“pipi”も安心できる環境にいるので突然死せず看取ることもできたのではないでしょうか……悔やまれます…
そのようなことがあり、少しでも自宅で看病できる環境を整えたい、という想いが募って、今は自宅に酸素室を用意しました。ここでその作り方を公開しますので、同じような思いをされている方の参考になればと思います。
酸素室製作のために用意するもの
酸素室をつくるのに最低限必要な機器類は、次の通りです。
- 酸素発生機
- 酸素室ケージ
- 酸素測定器
酸素測定器はなくても酸素室は作れるのですが、実は酸素は多すぎても酸素中毒を引き起こし、逆に悪化させてしまう可能性もありますので、測定器できちんと濃度を把握すべきと思います
他に、インコの呼吸困難な症状に気付いたとき直ぐに対処できるように、酸素缶も用意しておくと、安心かと思われます。
次からはpipiDの製作例を通して、3つの機器類のポイントをお話ししていきます。
インコ用酸素室のための酸素発生機の選び方
酸素発生機は人用のものを使いますが、呼吸困難になったインコに使いますので、24時間連続稼働が出来るものが第一条件になります。
途中で止まっちゃうと、酸素濃度が落ちちゃうからね。
そのうえで、次の性能を持つ機器を選びましょう。
(2)酸素流量が調節できる機器
(3)できればPSEマークがついている機器
(3)のPSEは検査で電気用品の安全性について合格している証明です。必須の条件ではありませんが、24時間連続稼働する可能性のある電気製品を選ぶには、安全性を考えると必要かと思います。
一般に出ている家庭用の酸素発生機は、酸素を発生させるというよりは、吸着剤(ゼオライト等)による酸素・窒素の分離と空気の圧縮により酸素濃度を高めている酸素濃縮器が多いのが現実です。そのため使用時間により吸着能力が落ちてくることから使用時間が限られており、一定時間で吸着剤の交換が必要になるか、交換できない機種は使い捨てとして捉えていただいたほうが良いと思います。といっても、24時間連続稼働で少なくても130日近くはまず使える機種がほとんどですので、万一の際にはどのような機種でも充分対応できるのではないでしょうか。
pipiDは、PSE検査合格済で酸素濃度最大93%、酸素流量1~7リットルのny430という家庭用機器を選びました。
実際に使用する際は、酸素室ケージの大きさにあわせて酸素流量・濃度の調整をしなければなりません。
細かく設定できる機種の方が使い勝手が良いみたいよ。
そう、酸素治療するインコに合わせて酸素の量を調整する必要もありますので、出来る限り細かく設定できる機種を選びましょう。
インコ用酸素室のための酸素室ケージの選び方
酸素室ケージは、当初は、インコにとって自分の家のままの方が余計な負担がかからないだろうと考え、かご専用カバーで試してみました。
ですが、これは思っていた以上に期待はずれな結果に終わりました。piiDの場合は、酸素発生機(濃縮器)を全開で稼働させても、大気中の酸素よりわずかに酸素濃度が高まるだけでした。
そんな実験を重ねて辿り着いたのが、水槽です。
水槽は、当たり前ですが水が漏れないので、当然酸素も漏れません。そのため、必要な酸素量まで調節しやすいのです。
ですが欠点も。
水槽は水漏れしませんから、酸素をためても当然下から漏れません。ということは、インコの呼吸で出た二酸化炭素は、酸素よりも重いので、どんどん水槽の下に溜まっていってしまいます。定期的に空気を入れ替えてあげる必要がありますので、注意してください。
一番いいのは、専用に設計された酸素室ケージを入手すること。専用の酸素室ケージであれば、そんな心配も要りませんので、こちらの検討もおススメです。
インコ用酸素室のための酸素濃度測定器の選び方
酸素は、高ければ高いほど呼吸が楽になるのか、というと、そうではありません。酸素濃度(実際は分圧)が高すぎると酸素中毒を引き起こし、中枢神経や肺などに影響が出、場合によってはなくなってしまう事も考えられます。そのため、長時間にわたり酸素濃度を高めた酸素室での治療は、適切な酸素濃度にしてあげたほうが安全なのです。
僕たちの療養に必要な酸素濃度ってどのくらいなの?
そうですね、治療によっては最初高めの酸素濃度にすることもあるようですが、だいたい30%が適切なようです。pipiも多分最初は高めの酸素濃度で治療し、血中の酸素濃度を高めて各臓器に酸素が回るようにしたのではないかと推測されます。
ですが家庭での療養は、医療知識のない中で行う事ですので、高くても30%前後で抑えるべきではないでしょうか?それ以上が必要な場合は、やはりドクターにお願いしたほうが良いでしょう。
ですので、酸素濃度測定器は、次の条件をクリアする機器を選びましょう。
(2)測定濃度限界を超えた酸素濃度になったことを知らせてくれる機器
pipiDは、空気中の酸素濃度が30%まで測れ、また30%をより超えた場合に赤ランプで教えてくれるBOSEAN携帯用ガス検知器を選びました。
[まとめ]
インコほか小鳥は、病気を隠す性質があることもあり、突然症状が現れます。症状が出た時は手遅れ、と言われることが多いのはこのためですが、それでも改善した例も多々見受けられます。
酸素が体中に採り入れられないのは、あらゆる臓器に影響を及ぼします。昨今はワンちゃん猫ちゃんを飼われている方も自宅に酸素室を設ける例も増えてきているようです。
インコや小鳥のために酸素室を備えておくと、少しでも長く一緒に居る時間が増え、場合によっては改善させることも可能ですので、万一に備えて用意しておくことをお勧めします。
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